自分から勉強をするようになってほしい
これは学校や塾の先生などの教える側はもちろん、保護者の方が持つ願いのひとつではないでしょうか?
今回は勉強嫌いになる要因を紐解いて、その障壁を取り除いてやることで「前向きに勉強に取り組めるようになる体質」の作り方を考えてみたいと思います。
「やらされている」と感じる
勉強は「やらされている」と感じてしまうと絶対にうまくいきません。
中野 信子・ 山口 真由「『超』勉強力」、President Inc, 2020, P.66
特に宿題をやっている時には、勉強は「やらされる」ものなんだと感じてしまいますよね。
宿題なんてなければいいのに…
「宿題は学力向上に効果無し!」という過激なことを言っている人もいますが、私はそこまで極端なことは思っていません。ですが、出す側が十分に配慮した上で意図を十分に伝えた宿題でないとあまり効果はないとも思っています。
宿題を「やるかやらないかは本人の自由」という前提が、特に中学生以降は、必要だと思っています。少なくとも、「宿題をやってきたかどうか」で成績をつけたり、やらなかったことを責めたりというのはやめたほうがいいと思っています。
そもそも必要性を感じない
「役に立つことを学びたい」「こんなことやっても将来役に何立たない」「勉強する意味は?」
誰しもこのようなことを考えたことはあると思います。その度に「役に立つかどうか」だけでやるかやらないかを決めるのは判断するのは危険なので今すぐ直したほうがいいと思います。
何の役に立つかは「分かりません」
科学者が行なっている研究で、その大半は「その研究が何に役立つか」わかっていないと思います。
例えば動物のバクの生態についてはまだよくわかっていないところが多いらしいです。バクの生態について研究している人は、「それが何の役に立つのか」は分かっていません。「役に立つ」かもしれないし「役に立たない」かもしれない。そんな研究を支えているのは「分からないから知りたい」という好奇心そのものだと思います。
必要性以上に大切なのはワクワク感
勉強に臨むうえで前提となる姿勢や考え方と、その先にある楽しさやよろこびについて小学生の段階からしっかりと伝えるべき(中野・山口, p.77)
勉強して役に立ったかどうかは結果でしかありません。
それよりも「なんでこんな不思議なことが起こるんだ?」という知的好奇心を満たすためだったり、「こんなことができるようになりたい」という願望を叶えるためだったりという勉強する人にとっての「今」に目を向けてあげてください。具体的には、
- ゲーム形式で取り組む
- 結果・能力だけでなく過程にも目を向ける
- 科学館や工場などを見学しに行く
- 親自身が勉強をして楽しむ
- 本を読む習慣をつける
などの行動は、知識や技術に対するワクワク感を引き出すために有効な手段だと思いますので、是非試してみてください。
「勉強って楽しい」と思える日はくるのか
学習には大きく分けて「知る」段階と「使う」段階の2つの段階があると思っています。もちろん「知ら」なきゃ「使え」ないので、「知る」のが最初の段階です。
私は「勉強が楽しい」と感じるのは「知る」段階の「初めて知る」まで段階と、「知る」段階の「自由に使える」以降の段階で、その間の「知識を定着してある程度使えるようになるまで」の間はある種の苦行だと思っています。
だからどんな物事でも、最初は楽しくても、勉強を進めていくうちに「楽しくない」と感じる瞬間があるもんなんだと思います。
「やる気」は自然に出てこない
「やる気」という言葉を「行動を起こすための気力」に限定するならば、やる気は習慣化しない限り、一生出てきません。
脳は「もったいないおばけ」です。脳が活動するためにはエネルギーが必要ですが、体に蓄えられたエネルギーは体を動かす体力として温存しておきたいので、脳はできるだけエネルギーの消費を抑えようとします。新しいことをするのにはエネルギーがいるので、脳は決められた(習慣化された)行動をとることを好みます。
だから何か普段とは違うことをやろうと思った次の瞬間には「でも…」となんとかやらない理由を探そうとするのです。
習慣化されていない行動は「やらない理由探し」を始める前に行動を起こすに限ります。
無関心という予防線をはられる前に
僕は勉強が心から嫌いな人はいないと本気で思っています。ですが、周りと比べられたり、人から押しつけられたりすることを恐れた結果として、周りからは「勉強を『拒絶』しているように見える」態度をとるようになります。
この段階にいる場合は、環境を少し変えるだけで改善していく場合が多いです。しかし、もっとひどくなると「無関心」という態度をとるようになります。この状態になると、学ぶことに対する感情のスイッチが常時OFFの状態になってしまいます。
そうなってしまうと、一度家庭環境を含めた生活環境を大きく変えた上で、長期計画で取り組んでいかないといけなくなります。